ドイツ南西部のStuttgartは坂の多い街です。充実した路線網を持つ標準軌のStadtbahnは最大で85‰の急坂を上り下りするそうですが、それとは独立して、さらに急な178‰の勾配をもつメーターゲージのラック式鉄道が存在します。思いがけず時間ができたので、乗りに行くことにしました。
StuttgartのDegerloch駅へ
2022.09.19、この日は3泊4日のドイツ旅行の最終日で、宿泊先のGothaを朝に出てFrankfurt空港に向かい、昼前にはレンタカーを返却しました。本当ならこのあとBritish Airwaysでロンドンに帰る予定だったのですが、航空会社都合で欠航、翌朝の便に振り替えとなり、Frankfurtで半日の空き時間ができた次第です。ちなみに欠航の理由はエリザベス女王の葬儀だったらしく、ヒースロー空港に近いウィンザー城に航空機の騒音が影響しないよう減便されていたということでした。ともあれ、12:20、Frankfurt Hbf発のGraz行きECに乗り、Stuttgartへ向かいます。


Stuttgart Hbfは工事中で、駅構内の分かりづらい仮設通路をたどってStadtbahnの地下駅に向かいました。2両連結の黄色い電車が行き交います。


お目当てのラック式鉄道は、下部駅のMarienplatz(U1・U16と連絡)と上部駅のDegerloch(U5・U6・U8・U17と連絡)のどちらから乗ることもできますが、今回はU6に乗ってDegerlochへむかいました。Stadtbahn自体が急こう配を擁する路線のため、Degerlochへの上り坂はそれだけでも楽しむことができます。
Degerloch
Stastbahnの地下駅から地上に上ると、通り沿いにラック式鉄道のDegerloch駅がありました。通りは交通量も多い普通の街中の幹線道路といった様子であり、ラック式鉄道の上部駅といっても全くその気配は感じられません。


行き止まりのホームの奥には、自転車を搭載する貨車が2両留置されていました。手前の1両は簡易的なもので、奥の1両は1111という車号で連結器も備えられた立派な車両です。



20分ほど待ってようやく、Marienplatzから電車がやってきました。新型車両に置き換えられる計画を聞いていましたが、到着したのはZT4形という従来車両で、私はこちらに乗ってみたかったので一安心です。

せっかくなので前が見える座席に陣取ります。

Marienplatzへ
15:15にDegerlochを発車、Marienplatzへ向かいます。最初の2駅は助走といった感じで平坦区間を走りますが、Nägelestraßeを過ぎると一気に丘を下っていきます。


あとは一本調子で急勾配をひたすら下ります。急勾配といっても住宅街を縫うような区間が続き、途中駅にも生活感が感じられます。眼下にはStuttgartの街が広がっています。



途中駅のひとつHaigst駅で停車中に写真を撮ってみました。よくよくみるとけっこうな勾配途中に駅があることが分かります。

Haigstの次は、勾配途中の交換駅Wielandshöheです。この日は減便されているのか列車の交換はなく、1001号1本だけが行き来しているようでした。



Marienplatz
乗車中ずっと眼下に見えていた谷底の街並みが近づいてきて、急勾配を抱えたまま唐突に終着駅のMarienplatzに到着しました。広場の真ん中に傾いた線路があるという、独特の光景です。



しばらくすると、列車は再び山を登って行きました。

私はこのあとStuttgart Hbfに戻り、ICEに乗ってFrankfurtまで帰りました。1泊余計にかかったホテル代とFrankfurt空港~Hbf間の電車賃は、航空会社都合の欠航ということで後日請求して支払ってもらうことができました。


コメント