「ホバークラフト」という存在を知ったのは、瀬戸大橋が開通する前の宇高航路だったと思います。その外観は写真や図鑑でしか見たことがなく、ただの速い船というくらいの認識しかありませんでした。その後、大分空港でも活躍していたようですが、空港横の航走路をドリフト走行する動画を見て興味を持った時にはそれもすでに廃止されており、乗ることはかなわないままでした。(2025年現在は再開準備中だそうです)
大分空港の航路廃止後に世界で唯一のホバークラフトだったのが、イギリス南部のPortsmouthとWight島のRydeを結ぶ航路です。そもそもホバークラフトはイギリスで開発された技術だそうで、それが現役で就航しているのはさすがです。イギリスに住むことになってようやく機会が訪れたということで、2022.01.16にホバークラフトへ乗るためにPortsmouthへ向かいました。
Portsmouth
Oxfordからは車でA34→M3→M27を乗り継ぎ、休憩も入れて2時間ほどでPortsmouthに着きました。ホバークラフトの乗り場に近い駐車場に車を停めます。時刻は9:40頃ですが、シーズンではないからか乗り場前は閑散としています。


出航まで時間があるので、近くを歩いてみます。砂浜(砂利浜?)には、1月だというのに泳いでいる人がいました。さすがイギリスです。

柵で区切られた乗船場自体も砂浜にあります。スロープ状にコンクリート舗装されたところが乗船場です。

歴史が記された看板もありました。運航開始は1965年だそうです。

待合室で待っていると、イギリスの国旗を前面に配した塗装のホバークラフトがRydeから到着しました。Rydeからの乗客が下りるのを待って乗船となります。


Rydeへ
船内は天井が低いくらいで、よくある船室と大きく異なる感じはありません。横一列に8名分の座席が並んだ広い船内です。

乗降口が閉まるとホバークラフトは浮上のため機体が大きく持ち上がり、やがてゆっくりと旋回して海上へとスロープを下りました。Rydeまではおよそ7.2kmの旅です。次第にWight島が近づいてきました。

わずか12分でRydeに到着しました。Porthmouth側と同じく陸上のスロープに乗り上げて停止し、前方の乗降口から降ります。隣に停まっている機体は昔使われていたものでしょうか? 動きそうな気配はありません。ホバークラフト乗り場はWight島を走る鉄道のRyde Esplanade駅に直結しており、乗客は歩道橋で線路を跨ぎます。鉄道はもう一駅、突堤の先のRyde Pier Head駅が終点で、ホバークラフトではない通常のフェリーと接続しています。下の写真で左側に延びているのが突堤(Pier)です。




Ryde Pier
Ryde Esplanadeから島内の列車に乗り、約1時間かけてShanklinまで往復しました。



帰りはRyde Esplanadeで降りずに終点のRyde Pier Headまで乗り通します。突堤は複線の橋梁となっていますが、片方の線路は使われていないようでした。

左手には道路橋と、Rydeの街とフェリー乗り場とを結んでいたトラムの廃線が並んで走っています。ちょうどフェリーが到着したのか、クルマの列がやってきました。いずれの橋梁も海上にあるだけあってサビだらけです。

Ryde Pier Headも、橋梁からそのままつながる海上駅でした。ホームの壁に空いた穴から海が見えます。




このまま電車に乗ってとんぼ返りするつもりでいたのですが、並行する道路橋を歩くこともできそうだったので、徒歩で突堤を渡ってみることにしました。まず目に入るのはトラムの廃線跡の橋梁です。ここがトラムであったことは、このあとRyde側に渡った時に知ったので、この写真の時点ではなにもわからずに撮影していました。

道路橋の端にある歩道らしきスペースを歩いていきます。

外から見るRyde Pier Head駅も、海と空とのコントラストがきれいでした。


街に向かって歩いていきます。フェリーの到着から時間が経ったからか、クルマの行き来がなくなって歩きやすいです。


Ryde Esplanade駅のあたりで、トラムの橋梁は陸に突き当たって終わりました。


Ryde Rier Tramwayの存在を伝える看板がありました。1969年に廃止となって、以降、橋梁だけが朽ちるのを待つように残っているようです。(その後、2023年に歩道として整備されたそうです)

1時間半ほどの短い滞在で、Wight島を後にしました。帰りもホバークラフトです。

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