Snowdon山を登る登山鉄道

United Kingdom

小学校の図書館で読んでいた機関車トーマスの絵本、荒涼とした景色の中を客車を押し上げて登っていく蒸気機関車の絵が印象的でした。「山にのぼる機関車」というタイトルのお話だったようです。そのモデルになったのがウェールズにあるスノードン登山鉄道です。2021年の運行シーズン終了が迫った2021.10.30、念願のスノードン登山鉄道に乗りに行くことにしました。

チケット

あらかじめWeb予約した12:30発の列車には、”Clogwyn Traditional Diesel 2021″という名称が付いていました。名称から分かるのは、まず終点のSummitまで行かずに一駅手前のClogwyn止まりであること、次に蒸気機関車でなくディーゼル機関車けん引であることの二点です。できれば終点まで蒸気機関車で行ってみたかったのですが、運行シーズン終了間際で制約があるのかもしれませんし、2021年シーズンはCOVID-19がまだ影響して運行規模が縮小されていたのかもしれません。いずれにしても、他に選択肢はありませんでした。予約メールには、①往復とも同じ列車に乗車すること、②トータルで2時間ほどの乗車となること、③8月7日にCOVID-19によるソーシャルディスタンスが解除され、通常の乗車数に戻ったこと、④マスクを着用する必要があること、が書かれていました。値段は往復で£32です。

Web予約番号と引き換えに窓口で受け取った切符

Llanberis

自宅のあるOxfordを早朝に出て、車で5時間ほどかけて起点のLlanberisに向かいます。以前はCaernarfonからLlanberisまで鉄道も走っていたようですが、現在はどの鉄道路線とも接続されておらず、訪問するには路線バスか車ということになりそうです。駅舎から道路を挟んだ駐車場に車を止めました。

かなり広いスペースの有料駐車場です。チケットを買ってフロントガラスに掲示する方式です

Snowdon登山鉄道のLlanberis駅です。日本語読みではスランべリスとなり、ウェールズ語独特の不思議な発音です。

Llanberis駅の駅舎

同じ列車を待つ乗客でしょうか、駅舎の外は観光客でにぎわっていました。

寒空の下、改札を待つ乗客

駅舎内のお土産店からは、ホームに列車が停まっているところが見えました。これは私が乗る1本前の列車のようです。ディーゼル機関車の車番が11号なのが読み取れます。

改札が始まり、ホームに入ります。客車はコンパートメントごとに出入口がある昔ながらのスラムドアで、あらかじめチケットで決められた区画(コンパートメントC)に乗車しました。車体幅が狭いため、車内に通路がないのは理にかなっているような気がします。

ディーゼル機関車は12号、客車は16号です。12号は1990年、16号は2013年?に製造ということで比較的新しい車両たちなのですね。

山を登る

海抜108mのLlanberisから海抜779mのClogwynに向けて、列車は登り始めます。日本の山に比べて標高の数字自体はそれほど高いわけではありません。全線にわたってアプト式のラックレール(2枚歯)が布設されており、Lanberisを出てすぐに勾配が始まります。残念ながらコンパートメントの窓際に座ることができなかったため、運転席越しに前方を眺めることにします。すぐに木々の間を抜けてしまい、左右にはなだらかな草地が広がって、標高の割には荒涼とした雰囲気が早くも漂います。一年を通して気温も高くないのでしょうね。

Clogwyn

Llanberisから約45分で、この列車の終点のClogwynに到着しました。駅に着いた後は自由に散策できますが、同じ列車に乗って戻らなければならないので、帰りの時刻も告げられます。

Clogwynに停車中の12号機関車と16号客車

駅やポイントの雰囲気はスイスの登山鉄道とよく似ていますね。当然かもしれませんが。軌間は800mmでウェンゲンアルプ鉄道と同じです。

駅の周辺には散策路があるのみで、これといってすることもないので車両を眺めたりしました。12号機関車は”GEORGE”という愛称なのですね。日本の軽便鉄道にもありそうなスタイルです。

ホーム部分にも若干の傾斜があります。右が山頂に向かう方向です

Clogwynから終点のSummitまで今日は列車が走っていませんので、線路上を散歩する乗客も見られました。私も歩いてみます。この先は約182‰の区間のため、散策路を跨ぐ線路もかなりの勾配です。周囲に草地はあるものの線路のそばには築堤建設に使ったのかゴロゴロとした石(スレート?)が転がっており、吹き付ける風の冷たさもあって、寒々しい景色に感じます。まさに機関車トーマスの絵本で読んだ風景が広がっていました。

Clogwynから始まる急勾配

帰りだけの片道切符もあるのですね。登山客用かもしれません。

片道切符の案内

おみやげ

Llanberisに戻り、売店で小冊子”The Way To The Stars”を買いました。スノードン登山鉄道の建設の歴史、歴代の車両の紹介等が掲載されています。2005年発行、£6.50でした。

この訪問のあと、なかなか再訪する機会を作ることができず、最後の一区間であるClogwy~Summit間は未乗のままとなっています。

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