Romney, Hythe and Dymchurch Railway(RH&DR)は、イギリスの保存鉄道の中でも日本で有名な鉄道ではないかと思います。イングランド南東部、ドーバーにほど近い海岸線を、その名の通り東からHythe、Dymchurch、New Romney、そしてDungenessの順に20kmあまりを結びます。全線の約3分の2が複線ながら軌間が381mm(15inch)と超狭軌なことが特徴で、大型機をサイズダウンしたような立派な蒸気機関車が長い客車列車を牽いて走ります。日本でよく知られている理由としては、伊豆修善寺にある「虹の郷」のロムニー鉄道の存在が大きいかと思います。RH&DRと同じ381mmの線路が施設内を走っており、やはりイギリスから輸入された蒸気機関車が走っています。
なにより興味があり、乗りに行ってみることにしました。
以下は2022年の時刻表と沿線案内のパンフレットです。私が予約したのはHythe12:30発Dungeness13:38着、折り返し14:30発Hythe15:45着で、料金は往復で£24.00+サービス料£1.80でした。


New Romney
2022.03.05、Oxfordから車で2時間半ほどかけて、RH&DRのNew Romney駅にやってきました。順調なドライブで、Hytheを12:30に出発する列車にはまだ時間があったため、途中の拠点駅であるNew Romenyに立ち寄った次第です。駅には機関庫とターンテーブルが隣接しており、1台のSLがちょうど入れ替えをしているところでした。


他にも見物客がいました。人と比べると確かに小さなサイズですが、動力は本物の蒸気機関ですし、堂々とした迫力も感じられます。しかし、線路だけを見てみれば、確かにミニサイズの鉄道であることを実感できます。ざっと跨いでみました。

駅のすぐ南側で線路は道路(さっき車で通った)をくぐっているのですが、そのトンネル断面も最小限といった感じです。

2面4線のホームは大きな屋根に覆われています。

他に留置線もあり、客車の編成が出番を待っていました。室内の高さの都合からか台車が車端部に寄っており、裾も絞られた独特の形をした客車です。車両限界に制約された車体形状は、ある意味イギリスらしいといえるかもしれません。


駅の北側です。ここだけ見ると立派な一般鉄道と遜色ありません。

車庫の引き上げ線を挟んだ向こう側に小さなミュージアムがあったので覗いてみます。



路線の歴史も興味深いところですが、個人的には展示されている模型が非常に気になりました。ミニサイズの鉄道の模型というのは縮尺はどれほどでしょうか。実物が模型的なので、その模型ともなるとサイズ感が分からなくなってしまいます。車両が精巧な造りで欲しくなってしまいますが、製品ではなくスクラッチなのでしょうね。






しばらくすると南のDungeness方からディーゼル機関車牽引の列車が入線してきました。




列車はNew Romneyのホームに停車、ここでディーゼル機関車から蒸気機関車に交換するようです。




Hythe
再び車に乗り込み、線路に沿う形で始発駅のHytheに向かいます。駅に駐車場が併設されていることは知っていたものの、混雑しているかどうか分からなかったため、駅の駐車場ではなく近くのスーパーマーケットの駐車場の一般時間貸しスペースを予約して、そこに車を停めました。駅までは歩いて3分ほどです。いざ駅に着いてみると、駅の駐車場も十分に空いていました。

12:30の列車の発車まで40分以上あいてしまったため、駅舎の中のカフェで昼食がてら時間をつぶします。駅舎内はお土産屋さんにもなっており、そこで過ごすこともできます。


Hythe駅の長いホームはNew Romneyと同じく大きな屋根に覆われています。2本のホームから共通の機回し線に入ることができるよう、行き止まりの頭端部はY字ポイントが3つ組み合わされた変則的な配線となっています。やがて、Dungeness方から列車が入線してきました。時刻表より15分余り遅れてやってきたのは、New Romneyで機関車交換をした列車そのもので、私がこれから乗車するのもこの折り返しのようです。


機関車は一旦Dungeness方に引き上げた後、転線してターンテーブルに向かい、方向を変えます。

機関車が先頭について、発車の準備が整いました。


なにしろ車両が小さいので、客車の屋根より人の背丈が飛び出てしまうほどですが、視点を下げると堂々とした客車列車の雰囲気を感じることができます。

チケットで指定された区画(Coarh G – Compartment 3)に乗り込みます。1区画当たり定員は4名で、かろうじて左右に並ぶことができる二人掛けの座席が向かい合った格好です。私は一人で独占できましたが、ここに4名乗車するのはかなり窮屈だと思います。


Dungeness方から追ってやってきた保線列車と入れ違うように、私の乗った列車は発車しました。



Hythe ~ Dungeness
New Romneyまでは複線のため、他の列車の都合を受けることなく自分のペースで走っていきます(一部工事中で単線となっている区間もありました)。目線が低いからかスピード感はなかなかのものですが、遠くに目をやると、ゆっくりした速度であることが分かります。表定速度は19.1km/hです。
Dungeness
終点のDungenessは、それまでとは一変して一面荒涼な風景が広がる海辺の街です。線路の配線もHytheとは異なり、直径約350mの大きなラケットループで方向を変えるようになっています。広い敷地を使えることと、人員配置の都合上ターンテーブルや多数のポイントを設置したくないといった理由があるのかも知れません。列車を降りた乗客は、駅舎内のカフェや隣接する灯台に、三々五々散っていきました。




ホームを端から端まで歩いてみました。ラケットループに沿って弧を描いたホームです。



帰り道、同じ号車の同じ区画に再び乗車して、Hytheまで戻りました。

おみやげ
イギリスの鉄道系グッズでよく見る駅名標のミニチュアと、ガラスの内側から貼るような反転シール、路線や車両のことを紹介したムック本をおみやげに買いました。




コメント