ロンドン地下鉄のSubsurfaceの路線、District Lineを走っていたD78 Stockという車両がありました。S Stockに置き換えられてDistrict Lineからは2017年に引退したそうなのですが、450両中約半数の226両が再利用のためVivarailという車両更新会社に買い取られました。その後の動きを調べてみました。

Long Marston Rail Innovation Centre
イギリス鉄道の車両不足解消や非電化路線の近代化のため、D78 Stockは地下鉄から一般の鉄道車両へのコンバートが計画されました。
Cotswolds線のHoneybourneから北に分岐する線路を、約5マイルほど進んだところにLong Marston Rail Innovation Centreがあります(もともとはHoneybourne~Stratford-upon-Avonを結んでいた路線が1976年に廃止後、南半分のHoneybourne~Long Marstonのみ再利用されている模様)。Long Marston Rail Innovation Centreには、用途を失った鉄道車両を次の活用先が見つかるまで保管したり新車の疎開先として使うためのヤードや、周回状のテストトラックが設置されており、ロンドン地下鉄を退役したD78 Stockもここに運ばれました。D78 StockをコンバージョンするVivarailもLong Marston Rail Innovation Centreに拠点を置き、ここで改造工事や試験運転が実施されていたようです。
未改造のD78 Stockが留置されていないか、2022.2.12にLong Marston Rail Innovation Centreを見に行ってみました。近くに鉄道駅はなく、車での訪問です。


敷地の西側を走る道路から見える範囲で覗いてみましたが、D78 Stockらしき車両や車体は見つけることができませんでした。その代わり、Birminghamの路面電車であるWest Midland Metroの先代車両T-69や、class769の姿がありました。




class230
Bletchley〜Bedford線
VivarailでD78 Stockからコンバートされたclass230のうち、電気式気動車に改造された230003–230005の2連×3編成は、London Northwestern RailwayのBletchley〜Bedford線に投入されました。2022年に乗車の機会をうかがったものの、私が調べたタイミングではいつもバス代行運転となっており、最後まで乗ることができませんでした。土日がバス代行なのか、車両の調子がよくなかったのか分かりません。
結局2022年12月のVivarailの経営破綻を受けて、Bletchley〜Bedford線の運転からは退役しました。ちなみにBletchley〜Bedford線はOxfordからCambridgeを結ぶEast West Railに組み込まれる予定で、走行する車両も一新されるのだと思います。

Reading depot
230003–230005はその後GWRに移籍しました。2023.11.25の時点で、Reading駅西方の車庫にLondon Northwestern Railway塗装のまま、3編成とも留置されているのを確認しています。イギリスでは珍しい車体の落書きが痛々しいですね。




class484
2連×5編成は第三軌条集電のままclass484電車に改造され、2021年からワイト島内の鉄道に投入されました。
前面の意匠はclass230と類似しています。ワイト島には2021.01.16に訪問し、class484にも乗車してきました。class230が2扉化されたのに対しclass484はD78 Stockの4扉を維持しています。




私が訪問したのはclass484が投入されて間もない時期でしたが、元の機能を活かしたままのコンバートですので、安定し運用されているのではないかと思います。
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