ペロポネソス半島の登山鉄道

Greece

YouTubeの動画を見ているときに、岩肌を縫って走るラック式登山鉄道の展望動画がおすすめで出てきました。ラック式登山鉄道と言えばスイスかオーストリアを思い浮かべますが、いわゆるアルプスの景色っぽくないな、と思い調べてみたところ、ギリシャの登山鉄道だということを知ってびっくりしました。ギリシャは海岸線が入り組んだ複雑な地形であり、私もなかなか全体像をつかめていないのですが、この登山鉄道は「ディアコプト-カラブリタ鉄道」と呼ばれており、その名の通りペロポネソス半島北側の海岸の街ディアコプトから22.3kmかけて内陸のカラブリタまでを結んでいることを知りました。登山鉄道らしく軌間は750mmの狭軌で、非電化路線だそうです。

訪問の機会を伺っていたところ、London GatwickからアテネまでのWizzAirで安いチケットがあるのを見つけたため、2022年12月に行ってみることにしました。

アテネからディアコプトへ

2022年12月9日、私にとっては初めて訪れるギリシャです。アテネからディアコプトまでは鉄道で行くこともできるのですが、職場の同僚のギリシャ人に話をしたところ、鉄道は遅れることが多いのでやめたほうがいいと言われ、アテネ空港からレンタカーで向かうことにしました。

London Gatwickからアテネまでは約4時間、時差が+2時間あるので、着いたのは13:30でした。ここからディアコプトまで約200kmのちょっとしたドライブです。ディアコプトの近くまで高速道路が通っているので運転自体は快適で、ただ、アテネ近郊を抜けるまで定額区間が細切れになっており、その都度何度も料金所を通過するのが若干面倒に感じました。

ディアコプトのホテルには17時ころ、まだ明るいうちに着くことができました。12月ですが、高緯度のイギリスとは違って陽も長いようです。

ホテルに荷物を置き、夕食がてらディアコプト駅を下見に出かけます、乗車するのは明日10時前の列車です。登山鉄道の駅は地上にあるのですが、国鉄は近代的な地下駅となっていました。

地下化された国鉄のディアコプト駅 本数も少ないためガランとしている

駅前の食堂で、肉料理とビールをいただき、明日に備えます。

ディアコプト-カラブリタ鉄道に乗車

ディアコプト駅

翌12月10日、9:52発の列車でカラブリタを目指します。切符はあらかじめインターネットで購入しており座席指定もされているので、早く並ばなければ、といったような余計な心配をすることなく駅へ向かいました。ホームにはまだ列車の姿はなく、駅周辺を散策してみます。

ディアコプト駅 国鉄が地下に潜ってしまったのでカフェや売店だけが残った感じ

駅舎の隣には、昔使われていたと思われる蒸気機関車の姿がありました。残念ながら知識に乏しいので、詳しいことはよく分かりません。

ラック式蒸気機関車

さらに歩くと、1世代前のディーゼルカーが線路上に放置されていました。すっかり荒れてしまった状態を見るに、今後のために保存してあるというよりは置き場所に困ってただ置いてある、といったふうに見えます。

以前調べたところでは、上の写真に写っているのは厳密にはディーゼルカーではないただの客車で、本来は2両の客車の間にエンジンのみ(客室はない)動力を挟んだ3両編成で使われていたようです。いまは動力車の姿はなく、客車だけが雑然と置かれていました。さらに奥へ行くと、蒸気機関車の廃車体も見られました。あまり解体したりしないのでしょうか。

駅に戻って反対側に進むと、ディアコプト-カラブリア鉄道の車庫があります。車両数に比べて車庫は広く、スクエアな形状の新型車に混ざって旧型車も停まっていました。

様子を眺めていると、4本ある新型車のうち1本が動き出し、駅にほうへ向かっていきました。これが9:52発の列車になるようです。

カラブリタ行き

カラブリタへ

Stadler製の新型車両を眺めてみます。目つきと色使いが少しフランスの車両っぽくも見えます。連結器の大きさを見るとやはり小柄な車体であることが分かります。

動力を積んでいるのは3両編成のうちやはり中間車両で、2/3がエンジン室、残りが客室となっているようでした。

12月の平日ではありますが、ほぼ満席となって列車は出発しました。750mmゲージの車体に2+2のシートなのでかなり窮屈です。ディアコプトを出て数分で街中を抜け、さっそく渓谷に入っていきます。それでも最初のうちは勾配もそれほど急ではなく、列車はクネクネと山すそを走っていきます。

Niamataでトレッキング客を2名ほど降ろした後、川を渡った列車はスピードを落としてラックレール区間に入ります。一気に勾配が急になり、YouTubeの動画で見たような岩肌を登っていくようになります。ところどころ素掘りの片洞門を抜けるところもあり、迫力は申し分ありません。

途中、左側の車窓に廃トンネルと廃橋梁が見えたりもします(現在は遊歩道として通行可能)。

渓谷の駅Mega Spilaioを過ぎてしばらくすると視界が開けてきて、高原のような地形を走るようになります。

Mega Spilaio

定刻の10:59より若干早く、列車はディアコプトから1時間少しで終点のカラブリタに到着しました。

カラブリタに到着

カラブリタ

ディアコプトに2泊する予定で、ディアコプト-カラブリタ鉄道に乗車する以外の予定もないため、終点のカラブリタからすぐに折り返さずに1本あとの13:37発の列車を予約しています。2時間半ほどあるので、カラブリタの街を歩いてみることにしました。

と言っても特にあてもなく、1時間ほどかけて近くの丘に登ったり、駅の近くでネコを眺めたりして時間をつぶしました。

近くの丘から

ディアコプトへ戻る

帰りの列車は30分ほど遅れてやってきました。運転本数も少なく、所要時間も短く、朝の時点で車両も車庫で整備されていた状況で、どこに30分も遅延する要素があったのかよく分かりませんが、まぁそんなものなのでしょう。

15時過ぎにディアコプトに戻ってきました。今後、模型を作ることもあるかと思い、側面写真を撮っておきました。

時間もあるので、再び駅近くの車庫を覗きに行きました。朝と同じく4本の新型車が庫内に入っています。

庫内には一部、三線軌条がありました。国鉄線と同じ標準軌と750mmの三線軌のようです。標準軌のレールは国鉄駅のあったほうに伸びており、750mmの本線との異軌間クロッシングも残ってました。国鉄駅が地下に移転した現在、この三線軌が使われる機会はなくなったと思いますが、駅近くに残置されている廃車体を見るにつけ、この三線軌も撤去されないまま残っていくような気もします。

車庫に伸びる三線軌

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