ICE4の夜行列車

Germany

ドイツの高速列車、ICE(Intercity-Express)と呼ばれる車両にはいくつかの種類があります。初代のICE1、ICE1を短編成化したICE2、振り子式のICE-T、320km/h対応のICE3と改良型のICE3neo、そして経済型といわれるICE4です(その他のバリエーションもありますが、ここでは代表的なもののみ)。ICE3の洗練された先頭デザインと比較して、ICE4は角ばってあまりかっこいいとはいえない先頭形状であり(個人的な感想です)、登場時には「なんで退化してしまったんだ」と感じたものでした。

そんなICE4に乗車する機会がありました。時刻表上はICEという列車名しか表示されておらず、どの種類の車両が充当されるのか狙ったわけではないので(調べる手段はあると思います)、たまたま乗車したのがICE4だったということになります。

ICE699

2023年4月30日、この日は路面電車に乗るためにプラハにいました。翌日にロンドンに帰国する飛行機を探したところミュンヘン発が安いことが分かり、プラハからミュンヘンまで移動することになりました。特にこうしたいというルートもなかったのでDBアプリで検索したところ、プラハから一旦ライプツィヒに北上し、そこからICEでミュンヘンに向かうというルートが出てきました。この列車がICE699となります。

調べてみたところ、非常に面白いルートで走る列車だということが分かりました。まず、ICE699は夜行列車です。起点のHamburg-Altonaを19:19に発車、Hamburg Hbfを経由してまずは東方のベルリンに向かいます。Berlin Hbfで4分停車し21:26に発車、次のLeipzig Hbfには22:48に到着します。ここで進行方向を変え、今度は西方のフランクフルトに向かいます。Frankfurt (Main) Hbfには2:11に到着14分停車ののち再び進行方向を変え、Frankfurt Flughafenで三たび方向転換、Mannheim Hbfを経由してStuttgart Hbfに4:42に到着します。ここで30分の長時間停車、さらに4回目となる方向転換をして東方のミュンヘンに向かいます。終点のMünchen Hbfには7:28の到着です。ハンブルクからミュンヘンまで高速線を一直線に走るのではなく、ドイツの主要都市を時間をかけてZ字のように結んでいきます。直行する列車の所要時間が約6時間ですので、実に倍の時間をかけてのんびり走行することが分かります。前身はもしかしたら客車列車だったのかも知れません。

Prahaから乗車したEC458は、Leipzig Hbfに22:19に到着しました。夜の中央駅でICEの到着まで30分ほど待つ間、EC458の食堂車が混雑のため夕食にありつけなかった代わりに、かろうじて開いていた売店でリンゴとバナナを仕入れます。

Leipzig Hbf に到着したEC458。Vectronも徐々に見慣れてきました

ICE699列車が入線してきました。先頭が14号車ですが、8号車と13号車が欠車の12両編成となっています。

PrahaからLeipzigを経由してMünchenまで通しで購入した切符、1等車と2等車の値段が10€ほどしか変わらなかったので、贅沢に1等車にしてみました。コンパートメントはなく全てオープンシートで、1等車は1+2の3列シートです。私が指定したのは二人掛け窓際の106番、ヘッドレストに予約区間が表示されています。ICE4は車体長29m級、車内も非常に落ち着いてゆったりとした空間です。

幸い車内はとても空いており、目論見通りアームレストを上げて横になることができました。

割と眠りは浅い方なのですが、LeipzigからErfurtまでの高速線そのあとの在来線の走行音を耳で感じながら、Stuttgartまではけっこう寝ることができました。

Ulmの手前では開業したばかりの高速新線を走行します。高速線と在来線を自在に使い分け、何度も方向転換を繰り返しながら各都市を結ぶような自由度の高い運転は、ヨーロッパならではです。München Hbfには定刻よりやや早い7:27に到着しました。それほど急ぐ必要のない旅には、車内空間の快適なICE4がちょうどよく感じました。

ICE78

その次にICE4に乗車したのは、2024.02.04です。前日にStrasbourgのトラムを巡ったあとにMannheimに宿泊、この日はKasselの六線軌条訪問のため移動することになりました。移動できればどの列車を選んでもよかったのですが、Kasselに到着してからの都合に合わせて選んだのが、ICE78列車です。事前に調べたわけではなかったので、ホームに入線してきた列車を見てICE4だと気付きました。

今回は2等車ですが、座席の雰囲気は1等車と似ており、やはりヘッドレストに予約区間が表示されていました。さっき駅の本屋で購入したStrassenbahn Magazinを読みながら(眺めながら)旅を楽しみます。

Mannheimを出発した時はよかったのですが、例によってFrankfurt Hbfで進行方向が変わり、後ろ向きのままKasselに到着しました。

ICE4は、2023年をもって全137編成の導入が終了したそうです。次にドイツに行って長距離移動する機会があれば、またICE4の快適な車内を楽しんでみたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました