Rail Magazineの名取編集長のブログで紹介され、日本の鉄道趣味者の間で島軌道と呼ばれている鉄道が北ドイツ、ユトランド半島の西岸に2か所あります。路線の正式名称は分かりませんが、便宜的に島の名前を取って Nordstrandischmoor(ノルトシュトランディッシュモール)、Langeneß(ランゲネス) とします。島軌道はNordstrandischmoor、Langeneßそれぞれの島に渡るための交通手段であり、遠浅の海の上に築かれたナローゲージの軌道上を小型の車両が行き来します。島の住民、ホテルに滞在する観光客のため、島軌道を走るのは私有の車両だそうです。ずっと乗りたいと思い、島のホテルに滞在しようと予約を試みたのですが、シーズンオフ、満室、団体のみ、等々いろいろな理由で予約することはできませんでした。仕方ありませんが、見るだけでも行ってみることにしました。
Nordstrandischmoor
2022.04.30に訪問しました。Nordstrandischmoorに渡る島軌道は、Badestelle Lüttmoorsiel という場所から出るようです。鉄道の通っていない場所のため、Hamburg空港でレンタカーを借り、約2時間かけて向かいました。
そばにある駐車場に車を停め、車両の乗降場をさっそく見に行きます。台車にエンジンを付けただけのものや、物置然とした箱型のもの(失礼な言い方ですみません)等、見た目も楽しい車両が停まっていました。

茶色の箱型の車両には、予約を取ろうとして取れなかったホテルのロゴが書いてありました。送迎用なのですね。乗ってみたかった。





しかし乗降場に人の気配はなく、なにか車両が動き出すような雰囲気はありません。線路を追って、海岸のほうまで行ってみます。

上の写真、右側の乗降場からやってきた線路は、左側の堤防に沿うように弧を描きます。そして長い距離をかけて堤防の法面を登っていきます。


堤防の天面でレールは行き止まり、スイッチバックをして反対側の法面を下っていきます。


堤防を降りたところに左側からの合流があり(列車の行き違いのために一時退避する線路のようです)、そのまま左カーブで海を渡っていきます。


運よく、島から列車が渡ってくる場面に遭遇しました。
ドイツ語は読めませんが、案内板です。干潟に飛来する鳥について書かれているのでしょうか。島軌道も地図には登場しますが、案内板で触れられているのかどうかは分かりません。

30分ほどの滞在でしたが、とても印象的な光景に出会うことができました。線路の向こうにある島にも、いつかは行ってみたいものです。

Langeneß
Nordstrandischmoorを後にして、Langeneßの島軌道を見るためにDagebüllに向けて北上します。車で30分ほどの距離です。この日はDagebüllに宿を取ったので、車を停めてチェックインをしてから歩いて島軌道を見に行きました。Langeneßの島軌道は、DagebüllからOlandを経由してLangeneßに至る長距離のものです。Langeneßにはフェリーも就航しているので、フェリーで上陸してからLangeneßの島軌道を見に行くことも考えたのですが、時間が合わずに断念しました。
鉄道の線路を越えて堤防沿いを10分ほど歩くと乗降場というか車庫のようなものが見えてきました。

こちらの車庫にも屋根のないベンチだけのものや、屋根のついた箱状の客車など、手作り感のあるユニークな車両が多く留置されていました。







線路をたどっていきます。乗降場を出た線路はNordstrandischmoorと同じく堤防に沿う形で登っていきます。

島軌道の歴史を紹介する案内板がありました。昔は帆で進むトロッコが使われていたのでしょうか。

堤防を乗り越えて線路は続きます。こちらはスイッチバックすることなく、そのまま直進していきます。


堤防の海側を下った線路は右にカーブして、島に向かう直線となります。




遠くのほうにも目を凝らしてみたのですが、列車がやって来る気配はありませんでした。人の動き自体がないように見え、羊だけがひたすら草を食んでいました。
コメント