模型化の方針
造形方法
最近の模型作りと同様に、3DCADで製図して3Dプリンタで造形することにします。3Dプリンティングはこれまでは外注ばかりしてきたのですが、光造形式の3Dプリンタが個人でも買える価格帯となり、私も購入しましたのでそれを使おうと思います。機種はELEGOOのMars 4 Ultraです。あまり詳しくないので、Mars 4 Ultraが鉄道模型作りに適しているのかどうかよく分かりませんが、XY解像度が18umというのは十分な性能ですし、Wi-Fiでデータ転送できる点も使いやすそうでした。
動力、下回り
ボディは3Dプリンタで作るとして、2軸の下回りにはいくつかの選択肢があります。パッと思い浮かぶのはKATOのポケットラインシリーズ(車輪径6mm、ホイールベース28mm)、あと入手のしやすさでは鉄コレ動力のTM-TR02(車輪径6mm、ホイールベース16mm)やTM-TR07(車輪径6mm、ホイールベース28mm)などがあります。実車のホイールベースが3,200mmなので1/150換算で21.3mmとなりますが、市販の動力ユニットで合いそうなものはありません。少し考えた末(=さほど悩むことなく)、ハノーバー電車やポケットラインクラシックに使われているKATOの動力が、車体形状が類似のT57にも適しているように思い、それを使うことにしました。ちなみにハノーバー電車のホイールベースは3400mmだそうで、そもそもポケットラインの28mmには合っていないので、あまり気にすることではないのかもしれません。ポケットライン動力はコアレスモーター化によって安定性が格段に増しており、使用にあたっての心配も全くありません。(欧州型なので本来は1/160なのではないかという考え方もあるかと思いますが、私は1/150で模型化しています)
車体寸法
ポケットラインの動力を使用する場合、車体幅の再現が問題となってきます。ポケットライン動力の幅が実測で15.3mmであり、150倍するとそれだけで2295mm幅となります。実車の車体幅が2200mmですので動力だけでもそれを上回ってしまい、スケール通りの再現は破綻してしまいます。したがって、3Dプリンタ出力品の強度や変形の許す限り側板の板厚は薄めにしようと思います。
全長も問題となります。例えばマイトラムクラシックの車体長は65.8mmで150倍すると9870mmですが、実車の車体長(≠全長)が10900mmですのでそのままだと寸足らずです。幅と違って長さは余裕のある方向ですので実車通り再現することも可能ではありますが、連結運転をするときにマイトラムクラシックのドローバーを流用しようとすると、連結面間隔が足りなくなってしまいます。これは悩みどころで本当に迷ったのですが、ポケットラインの下回りを流用するというお手軽コンセプトであることを優先し、車体長もデフォルメすることにしました。具体的には側面ドア間の窓配置は寸法通りとし、斜めにカットされているドア戸袋、ドア、運転席窓の一帯を縮めるようにします。
結果として、幅16.2mm(スケール通りだと14.7mm)、長さ68.4mm(同72.7mm)という、実車の印象よりも太短い車体を設計することにしました。
製図
DesignSpark Mechanicalで製図しました。モデリングには特筆することはありませんので、完成形を載せておきます。

まずはM車の27号車です。側面幕付きで全面幕上にアンテナがあります。マイトラムクラシックの連結器受けピンに嵌められるような形でシャルフェンベルク連結器のデータも作成しました。

31号車です。側面幕がなく、アンテナも後方に寄っています。側窓は両端の二枚上部が左右引き窓になります。こちらは連結器にカバーが付いた形態を再現してみました。(もちろん差し替え式ですのでいかようにでもなります)

T車の90号車です。どちらかと言うと27号車に近い形態です。あとで気づいたのですが、KirnitzschtalbahnのT車の写真を見ながらデータを作成したため、前後の系統幕を誤って埋めつぶしてしまいました。Woltersdorfの実車は幕が残っているのが正解です。連結器はシャルフェンベルク式が連結した状態のドローバータイプも作りました。
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