社会人になってからしばらくの間、町屋の都電荒川線沿いにある単身寮に住んでいました。4階の部屋のベランダから下をみると線路が通っており、行き交う都電の音がよく聞こえてきました。職場が三ノ輪だったので、町屋二丁目から三ノ輪橋までの区間は私の通勤ルートでもありました。
2000年代の初頭、当時は殆どが7000形更新車と7500形更新車で占められている中で、最も新しかったのが8500形でした。どのような車両なのかは私がここで書くまでもありませんが、明るい塗装に大きな窓、同世代のいわゆる軽快電車とも違った端正なデザインは、いまでもひきつけるものがあります。
都電荒川線はいろいろな形式がNゲージで模型化されていますが、8500形は製品に恵まれず、本記事執筆時点(2026年7月)でも、正規スケールのNゲージとしてはどこからも市販されていません。(Bトレインショーティーにはなっています)
2026年4月に開催された東京ジオラマ展に、私も荒川線モジュールの展示で参加する機会をいただきました。それに合わせて、ずっと気になっていた8500形を模型で作ってみることにしました。
実車の形態分類
それこそ私が書かずとも知られていることだとは思いますが、3種類ある実車の違いを簡単にご紹介します。
1次車 8501
1990年4月にアルナ工機で新製されたVVVF車です。入籍日は1990.04.16です。前面下部に前照灯、バンパーに尾灯が配置されているのが外観上の特徴で、スカートの左右の回り込みは短く、下部の黒塗装もありません。車内はロングシート、乗車扉は1000mmの片開き、降車扉は1200mmの両開きです。パンタは軽快電車用ZパンタのPT110、台車はシェブロンゴム軸受けのFS-91となっています。台車のブレーキシリンダは当初は台車枠の内側にあり見えませんでしたが、のちに外側に移設されています。登場当時の鉄道雑誌を見ると(鉄道ジャーナル1990年7月号)、黄緑色がいまよりも草色っぽいように見えますが、実際に色が異なるのか単に写真うつりだけの話なのかよく分かりません。帯の黄緑(太い部分)と緑(細い部分)の配置が2次車以降と異なり、黄緑が上、緑が下となっています。
その後、方向幕のLED化、シングルアームパンタへの換装、機器更新(2017年:三菱電機GTOから東洋電機IGBTインバータへの換装)とそれに伴う屋根カバー、側面床下機器カバーの撤去、固定窓だった運転台右側窓の横開き化があったものの、塗装やライト等、2次車以降に合わせるといった変更はされませんでした。
2026年4月から、外観が黄色となり、内装も一新された「リニューアル」が実施されています。
2次車 8502
1992年の増備車です。メーカーはアルナ工機、入籍日は1992.04.23です。正面のライト配置が、前照灯+尾灯の横2灯となったのが外観上の大きな変更点です。JR221系、811系、京王8000系、京成3700形、東武30000系、南海2000系等々、低い位置の横2灯というのは、この世代の流行りともいえるデザインです(私は好みです)。ぱっと見の印象が1次車と異なるものの、基本寸法は変わっていません。運転台右側の窓は当初から横開きで、車内はロングシートです。台車はFS-91Aになりました。帯は黄緑色の上に緑の細帯があり、1次車とは入れ替わっています。スカートが側面まで大きく回り込んでいるほか、スカートや側面機器カバーの裾が黒く塗装され、1次車よりもスリムな印象を受けます。
8501と同じく方向幕のLED化、シングルアームパンタへの換装、機器更新(2014年)を受けていますが、屋根カバー、側面床下機器カバーは残置されています。インバータ換装に伴い設置されたフィルタリアクトルが、既設屋根カバーから高さ方向に少し飛び出しています。



2次車 8503
1992年の増備車で、メーカーはアルナ工機、入籍日は8502と同じ1992.04.23です。外観も8502と同じなのですが、車内はロングシートではなく一人掛けクロスシートとなりました。
やはり方向幕のLED化、シングルアームパンタへの換装、機器更新(2014年)を受けており、屋根カバー、側面床下機器カバーは残置されています。








3次車 8504
1993年の増備車です。メーカーはアルナ工機、入籍日は1993.04.06です。一見2次車のリピートオーダーですが車体寸法に違いがあり、降車扉幅が2次車までの1200mmから1300mmに拡大され、併せて戸袋窓も50mmずつ拡大、そのしわ寄せで側窓が1枚幅狭になっています。
1次車、2次車と同じく方向幕のLED化、シングルアームパンタへの換装、機器更新(2017年)を受けており、屋根カバー、側面床下機器カバーは撤去されています。


3次車 8505
1993年の増備車です。メーカーはアルナ工機、入籍日は1993.04.06です。基本的には8504と同形態かと思います。方向幕のLED化、シングルアームパンタへの換装、機器更新(2013年と思われる:8500形最初)を受けており、当初は8502、8503と同じく屋根カバー、側面床下機器カバーは残置されていましたがその後撤去され、現在は8504と同様の外観となっています。









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