チェコのタトラが開発した、小型連接式電動車(Kurzgelenk Triebwagen)がKT4です。1975~1997年にかけて実に1900両ほどが製造され、旧東ドイツをはじめ旧ソ連、旧ユーゴスラビア等に導入されたそうです。意外と古くない形式なんですね。このうちドイツで使われたのが末尾に”D”が付いたKT4Dと呼ばれる形式です。2車体がそれぞれ電動台車をひとつずつ持ち、連接部には台車はありません。二つの車体は横方向に首を振れるのですが、一般的な連接車とは異なり縦方向には自由に動けません。例えるなら、あくまで急カーブで周囲に支障しないようにボギー車の真ん中を左右方向に折った、というような構造です。全長は約19,000mm、全幅は2,180mmと細身です。
ドイツ中部のGotha(ゴータ)を走るThüringerwaldbahnでも、多くのKT4Dが使われています。水色と黄色のツートンに塗装されたKT4Dが森の中を走る風景が印象的で、Nゲージの模型で再現しようと思います。まずは実車の状況を整理してみました。
実車の形態分類
GothaのKT4Dは、新製配置された生え抜きの6両と、Gothaに近いErfurt(エアフルト)からの移籍車10数両です。また、改造によっていくつものバリエーションが存在します。いくつかの専門サイトで車歴を拾うことができるので、まとめてみました。ちなみにGothaもErfurtもメーターゲージです。
| 車番 | 前身 | 製造年 | 転入年 | 廃車 | 形式 | 塗装 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 301 | – | 1981 | – | 2019 | KT4D→ KT4DC | 水・黄 |
| 302 | – | 1981 | – | 2018 | KT4D→ KT4DC | 水・黄 |
| 303 | – | 1981 | – | 2024 | KT4D→ KT4DC | 水・黄 |
| 304 | – | 1981 | – | – | KT4D→ KT4DC | 復刻塗装 |
| 305 | – | 1982 | – | 2018 | KT4D→ KT4DC | 水・黄 |
| 306 | – | 1982 | – | 2017 | KT4D→ KT4DC | 水・黄 |
| 306 II | Erfurt 495 | 1986 | 2018 | – | KT4DC | 赤・白? |
| 307 | Erfurt 536 | 1990 | 2001 | 2024 | KT4D | 赤・白 |
| 308 | Erfurt 538 | 1990 | 2001 | – | KT4D | 赤・白 |
| 309 | Erfurt 539 | 1990 | 2001 | – | KT4D→ KT4DC | 水・黄 |
| 310 | Erfurt 540 | 1990 | 2001 | 2006 | KT4D | 赤・白 |
| 310 II | Erfurt 537 | 1990 | 2009 | – | KT4DC | 赤 |
| 311 | Erfurt 548 | 1990 | 2001 | 2022 | KT4D | 赤・白 |
| 312 | Erfurt 552 | 1990 | 2001 | – | KT4D→ KT4DC | 水・黄 |
| 313 | Erfurt 545 | 1990 | 2006 | – | KT4D→ KT4DC | 水・黄 |
| 314 | Erfurt 541 | 1990 | 2006 | – | KT4D→ KT4DC | 水・黄 |
| 315 | Erfurt 553 | 1990 | 2006 | – | KT4D→ KT4DC | 赤・白 |
| 316 | Erfurt 542 | 1990 | 2006 | – | KT4D→ KT4DC-Z | 水・黄 |
| 317 | Erfurt 543 | 1990 | 2006 | – | KT4D→ KT4DC-Z | 水・黄 |
| 319 | Erfurt 549 | 1990 | 2006 | 2022 | KT4D→ KT4DC | 黄 |
| 518 部品どり | Erfurt 518 | 1987 | 2016 | 2021 | KT4D | 緑 |
Erfurtからの移籍車は、1990年製造の若年車が十数年で譲渡されていることが特徴的かと思います。地理的な近さもありますし、何らかの協力関係があるのでしょうか。また、殆どの車両がチョッパ制御化改造を受けて、KT4DからKT4DCに形式変更されています。外観上はB車屋根上の抵抗器が撤去され、すっきりとした屋根上に変化しています。KT4DとKT4DCの混結はできないのか、これまでに私がみた写真では重連の場合も同じ形式同士となっているようです。両者を見分ける意図もあるのか、Erfurt塗装の赤・白がKT4D、Gotha塗装の水・黄がKT4DCのように思えなくもありませんが、315のような例もあってよく分かりません。316と317は、Waltershausenの区間運転用に両運転台改造されて、KT4DC-Zという形式になっています。細かい形式違いはあるものの、本稿はじめ本ブログでは総称という意味でKT4Dと呼びたいと思います。
実車の写真
2019.09.24および2022.09.18-19に訪問した際に撮影した実車の写真を幾つか紹介します。(ここに出てこない車両は、訪問時に私が見ることができなかったものです)
303
生え抜きの303です。訪問時は車庫の奥に留置されていて、はっきりと見ることはできませんでした。このあとノルトハウゼン大学に譲渡され、最終的には解体された模様です。

ちなみに、Reinhardsbrunn Bf.にある小屋の壁に、303のイラストが描かれていました。

304
同じく生え抜きの304です。生え抜き車で唯一残留している車両です。生え抜き車は側ドア上部の板にビードが見られるほか、後部標識灯の分割数が多い(左右4連ずつ?)ことが特徴となります。


310
Erfurtからの移籍車です。GothaのKT4Dとしてはオーソドックスな形態かと思いますが、全面赤塗装なのが目を引きます。”310″としては2代目となる車両で、当初はErfurt塗装、途中で車体広告のため赤塗装となったのがそのまま残っているように思われます。ワイパーは2連、前照灯のリムは塗装です。

311
Erfurtからの移籍車です。他の車両と同じ時期にGotha入りしていますが、最後までチョッパ改造は行なわれず、KT4Dのまま廃車となりました。裏を返せばErfurt時代の原型に近く、正面左右のマーカーランプが小型だったり、運転台後部窓上部の開閉部が小型だったりします。前照灯のリムは塗装です。

312
Erfurtからの移籍車です。Gotha化改造をしっかり受けていて、典型的なGothaのKT4Dといえると思います。上の311と対照的に、正面左右マーカーの大型化、運転台後部窓上部の開閉部大型化、チョッパ化が施工済みとなっています。ワイパー1連、前照灯リムは金属です。

314
Erfurtからの移籍車です。上の312と似ていますが、正面左右のマーカーが小型のまま、ワイパー2連、ライトリムが塗装という違いがあります。ちなみに移籍車の後部標識灯は、生え抜き車と異なり左右3連+バックランプとなっています。


ちなみにErfurtからの移籍車で外観がGotha塗装となった車両も、車内はErfurt塗装のまま残されているようです。下の写真は314の車内です。

315
Erfurtからの移籍車です。正面左右のマーカーが小型、運転台後部窓上部の開閉部が小型、と、完全にはGotha化されていないように見受けれれます。塗装もErfurtのままです。ワイパー2連、前照灯リムは塗装です。


316
Erfurtからの移籍車で、両運化改造を受けています。正面左右のマーカーランプ、運転台後部窓等、Gotha化改造済みです。A車、B車とも、ワイパー1連、前照灯リムは金属です。心なしか、増設運転台側は若干目が離れているようです。後部標識灯の穴を流用した都合でしょうか。


317
Erfurtからの移籍車で、316と同じく両運化改造を受けています。正面左右のマーカーランプ、運転台後部窓等、Gotha化改造済みです。A車、B車とも、ワイパー1連、前照灯リムは金属です。

319
Erfurtからの移籍車です。私が目にした時には既に部品がとられている状態でした。最後は正面左右のマーカーランプ小型、運転台後部窓上部の開閉部大型、ワイパー2連、前照灯リム金属、という形態だったようです。



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